足立美術館
石見銀山の旅(その3)
昨日は石見銀山で丸一日楽しむことが出来、今回の旅の目的は達した。本日は帰りの飛行機に乗るまでの時間、美術館に行くことにした。行き先は足立美術館。最寄り駅はJR安来駅。JR出雲市駅から普通電車で1時間超かかる。午前8:42分出雲市駅発の列車に乗車。車両への乗り降りにはボタンを押して自分でドアを開かなくてはならない。乗務員は運転手一名だけのワンマンカー。本日は少々風が強かったので、窓の外に見える田の稲穂がキラキラと輝いて波打っていた。昨日行った西方面に比べて出雲市より東、松江方面へは列車の本数だけでなく、乗り降りする客の数も多い。夏休みに先生に連れられて写生に行く中学生たちが10人ほど乗っていた。列車は2輌編成で、無人駅に止まる時は1輌目の一番前の扉からしか下りられない。ワンマンカーなので、運転手が切符をチェックするためだ。ところが、中学の先生と生徒たちはそれを知らずに2輌目から降りようとボタンを押しているうちに列車が発車してしまったのである。駅を出てから間もなく先生が大声で「止めてください、降ろしてください」と叫んでいた。バスではあるまいし、当然無理。先生はガックリした様子で、次の駅まで立っていた。次の駅に到着して漸く下車できる時、生徒が1名足りないことに気が付いたらしい。運転手に「待って欲しい」と告げ、2輌目に生徒を呼びに行っていた。田舎だから発車するのを待ってくれたが、要領の悪い先生である。
JR安来駅には午前9:57分に着いた。美術館への無料送迎シャトルバスがあると聞いていたので、発車時刻を見ると次は午前10:40分だ。まだ40分以上ある。駅前にマイクロバスがあったので、足立美術館に行くかと尋ねると、時間は40分位かかるが行くとの事。一律200円。タクシーだと20分ぐらいで3,000円程との事。結局バスに乗ることにした。料金もそうだが、バスに乗ることにしたのは、運転手が街を一周するのも良いとの一言があったからである。バスは午前10:00発、直ぐに出発した。このバスは「広域生活バス」と呼ばれており、安来市が走らせている。バスの側面には、”どじょう”と白鳥が描かれている。”どじょうすくい”で有名な安来だからである。白い鳥の絵を最初は白鷺ではないかと思っていたのだが、運転手の説明では白鳥との事。田に鷺も来るが、冬には白鳥が来るようだ。ここでは鷺は珍しくないが、白鳥は名物にできるのだろう。運転手の家にはキジも頻繁に来る様子。私の住んでいる辺りとは違うのだ。

バスで暫く走ると、安来・清水寺(写真 : 安来市HPより)に着いた。ここは厄払いの寺として慕われており、観音霊場の一つ。山の中腹には三重の塔が建っている。80歳近い女性がお参りに行くと言って下車した。このバスはコミュニティーバスなので、安全さえ確保できれば、住民はバス停の無い所でも自由に乗り降りできる。道路端でおばあさんが手を上げて合図しているとバスは留まる。乗客は○○の角で降ろして欲しいと言うと、バスはそこで降ろしてくれる。本数は少ないが、村のお年寄りには便利だ。
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午前10:45分頃、漸く美術館に到着した。まずチケットを購入、入館料は大人1名2,200円だ。あわせて帰りのシャトルバスの時間を確認する。午後12:20分発に乗ることを決め入館した。中に入って最初に目にするのが「迎賓の庭」(写真)である。枯山水庭を中心にした雄大な景色が魅了する。ここの庭園は、米国の庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」(JOJG)の「2006年日本庭園ランキング」で、2003年、2004年、2005に続き、4年連続で「庭園日本一」に選ばれたとの事。天候にも恵まれ、澄み切った青空を背景に、庭の緑が一段と美しく輝いていた。

奥に進むと通路に蒔絵が並んでいた。蒔絵は日本独特の漆工芸の一つ。立体感のあるもの、金属で作られたように見える作品など、素晴らしい工芸品が展示されている。続いて「苔庭」(写真)、「枯山水庭」と素晴らしい庭を見ることが出来る。途中「童画の世界展」が開催されており、可愛らしいファンタジー作品が展示されていた。
その後も庭園は続き、館内の窓がそのまま額縁になる「生の額絵」、高さ15mから流れ落ちる人口の滝がある「鶴亀の滝」(写真)、「池庭」がある。館内の奥にある「生の掛軸」も美しい。床の間の壁をくりぬき、あたかも一幅の山水画がかかっているかのように作られている。残念なのは、庭園を見学する人々の姿が入ってくる事だ。人が多いのでやむを得ないが、何時までたっても庭園だけを見ることは出来なかった。
最後は「白砂青松庭」(写真)だ。横山大観の名作「白沙青松」をイメージして作られた庭園との事。美術館スタッフの話では、数年前までは庭の飛び石を歩くことが出来たらしいが、砂の上を歩くことを禁じていても守ってもらえなかったので、中に入ることが出来ないようにしたとの事。少々残念である。(庭園の写真は足立美術館のHPより)

次は2Fの展示室だ。現在「くらべてみよう!日本画のたのしみ」展が開催されている。同館の解説によると、「絵画を鑑賞する際に、複数の作品を見くらべることで個々の作品の特徴がより際立つことがあります。本展では、この「くらべる」ということに注目し、「同じモノを描いた日本画」を二点一組で展示いたします。たとえば横山大観作「鼬」(写真 : 足立美術館のHPより)と橋本関雪作「秋圃」(写真 : 足立美術館のHPより)は、ともに「いたち」を主題とした作品です。
なるほど大観のいたちは単純化されていて、その丸い目は愛らしくひょうきんな趣があり、親近感あふれる姿に心引かれることでしょう。それに対して、関雪作品の方では写実的に描写されており、体を起こして周囲に注意をはらう様子からは野生の本能がうかがえます。つまり、描く対象への視点や表現方法そして画家の個性などがそこに加えられることで、同じ「いたち」でも異なる趣をもち、それぞれの良さや特色のある作品となっているのです。また比較することによって、個々の作品の魅力がいっそう浮き彫りになるとも言えるかもしれません」と書かれていた。確かに一つ一つ比較しながら見ていくと、表現の差が分かり非常に面白い。

隣の小展示室に行くと、「滝八趣」と題された展示が為されている。こちらも様々な画家が描く滝を比較することが出来、非常に興味を湧かせてくれる。さらに「横山大観特別展示室」(写真 : 横山大観作・紅葉 : 足立美術館のHPより)があり、ここでは横山大観の絵を堪能できる。丸一日かけて鑑賞しても良いぐらいだが、バスの時間が迫ってきたので、次に進んだ。
1Fに降りて、来た通路を戻り、入り口近くの階段を昇った2Fに行く。ここは陶芸館で、「北大路魯山人」の作品が展示されている。同氏は「佳き食物は佳き食器に盛り、佳き掛軸と相応の花器に活けた花の精に包まれて摂るのが本当の食事である」と言う考えから、自ら作陶に手を染めた稀代の料理人である。私のような素人には、どのような食べ物を盛ると美味しそうに見えるか、といったことを想像しながら鑑賞すると楽しい。焼茄子が良いとか、秋刀魚と卸し大根が似合うなど、考えるだけでヨダレが出る。もう少し見ていたかったのだが、バスの時間が迫ってきたので美術館を後にした。
安来市観光のHP
http://www.city.yasugi.shimane.jp/kanko/
足立美術館のHP
http://www.adachi-museum.or.jp/ja/index.html






















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