物語カタールニャの歴史(知られざる地中海帝国の興亡)
物語カタールニャの歴史―知られざる地中海帝国の興亡―(田澤耕著)[中央公論新社刊]
今年の1月18日付ブログで紹介した堺屋太一氏著「歴史の使い方」に書かれていたように、日本ほど①継続性、②単一性、③純粋性の3点を備えたシンプルな歴史は他に無い。複雑な歴史を持つ国の事例としてスペインを挙げていたが、古代ローマ時代やイスラムの時代、レコンキスタ以降のキリスト教の時代など、色々と移り換わっている。レコンキスタ(国土回復運動)以降も単純ではない。バスク問題などは未だに続いている。我々日本人から見れば、スペインは1つの国であり、同国の中であればどこも同じと考えてしまうのだが、言語、文化、伝統、慣習などが異なる地域も含まれているのだ。その中の一つがカタールニャ地方である。今回ご紹介する本は、カタールニャの歴史について物語る。
本書によると「普通、カタールニャという場合、スペインの地中海岸の北東部、フランスと国境を接する地方を指す。現在は、広範な自治権を有する自治州であり、その州都はバルセロナだ。カタールニャの人口は約600万人。この人口はデンマークを上回り、ヨーロッパでは中程度の国に匹敵する」という。また「カタールニャには国としての条件がそろっている。独自の歴史、伝統、習慣、そして言語がある。そこに生まれた人々は、たとえ国籍がスペイン、あるいはフランスであっても、自分はスペイン人、フランス人である前に、カタールニャ人であると思っている」のだ。国籍がスペイン、あるいはフランスと書いているのは、カタールニャの一部がフランス領北カタールニャとなっているからである。本来であれば、落ち目のスペインが30年戦争に首を突っ込んだ際、国際情勢を上手く利用して独立したポルトガル同様、国家になっていてもおかしくは無かったのである。では何故独立できなかったのであろうか。一言でいえば、勝ち馬に乗れなかったからである。当時のハプスブルク家とブルボン家との争い、およびヨーロッパにおける勢力均衡を求める他の国の動きに翻弄されたと言っても良いであろう。
本書は著者が述べているように、「カタールニャの歴史を、中世を中心に据えて物語風にまとめ」られており、非常に読みやすい。またカタールニャが地中海の覇者として栄えた時代について書かれている部分は、地中海の交易に関心がある人にとって面白く読めるのではないか。スペインに興味をお持ちの方にお薦めしたい1冊である。


Comments
失礼します。
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ご笑覧ください。
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Posted by: あだち | July 03, 2008 at 09:39 PM