September 19, 2007

米FFレート引き下げの効果は?

FFレート0.5%下げ年4.75%に

FRB(米連邦準備理事会)は18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、短期金利の指標であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標を0.5%引き下げ、年4.75%とすることを決め、即日実施した。金融機関向けの貸出金利である公定歩合も、先月の緊急引き下げに続き0.5%引き下げ、年5.25%とした。

当初、8月の雇用統計以外の経済指標に景気の急減速を示すものがなかったことから、0.25%の利下げに留まるとの見方が強かったため、今回の0.5%の利下げは米国株式市場にとってサプライズとなり、ダウ工業株30種平均は335ドル高と約5年ぶりの上げ幅を記録した。また、流動性が増すとの期待から、NY金(735.5ドル/オンス)や石油相場(82.38ドル/バーレル)も最高値を更新した。

FRBの利下げ幅が市場予想より大きい場合、市場の知らない何か悪い材料をFRBが隠しているのではないかと判断される懸念も噂されていた。しかし今回の声明では、利下げしなかった場合に生じる金融市場の混乱が景気に与える悪影響を未然に防ぐため、引き下げ幅を0.5%にしたと明言し、景気の先行きを見ての決定であって、悪材料を隠しているのではないと言うことをハッキリさせた。

ところで、今回のサブプライムローン問題から始まった金融市場の混乱であるが、1998年に起きたロシア危機に似ているという意見も多い。この時FRBは3回続けて金利を引き下げた。そのため、次のFOMCでも利下げが行われるのではないかとする見方もある。しかし今回の声明は、これまでと同じようにインフレリスクに言及しており、中立的な内容となっている。つまり10月末に開かれる次回FOMCでは、利下げされない可能性も残っているのだ。ロシア危機の時とはその他の環境が異なる。

そもそも今回の金融市場の混乱は、サブプライムローン関連リスクの所在や規模を把握できない市場の不安心理が原因である。FFレートの引き下げは、流動性の確保および「個人消費の減退→景気の減速」に歯止めをかけるのに効果はあるが、根本原因を絶たなければ、金融市場の安定は期待出来ない。米国の株高を受けて、わが国の株式市場も大幅に上昇している(19日前場・日経平均531.49円上昇)。チャートも25日移動平均線を越え、好ましい形になった。このまま上昇トレンドとなって欲しいが、懸念材料が多すぎるので、まだ積極的に市場参加するつもりになれない。このような考えは、相場に乗り遅れて後悔する結果になるのかも知れないが・・・・・。

(ご参考)FRBのHP(2007/09/19利下げ声明文)
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20070918a.htm


For immediate release
The Federal Open Market Committee decided today to lower its target for the federal funds rate 50 basis points to 4-3/4 percent.
Economic growth was moderate during the first half of the year, but the tightening of credit conditions has the potential to intensify the housing correction and to restrain economic growth more generally. Today’s action is intended to help forestall some of the adverse effects on the broader economy that might otherwise arise from the disruptions in financial markets and to promote moderate growth over time.
Readings on core inflation have improved modestly this year. However, the Committee judges that some inflation risks remain, and it will continue to monitor inflation developments carefully.
Developments in financial markets since the Committee’s last regular meeting have increased the uncertainty surrounding the economic outlook. The Committee will continue to assess the effects of these and other developments on economic prospects and will act as needed to foster price stability and sustainable economic growth.
Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Charles L. Evans; Thomas M. Hoenig; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Frederic S. Mishkin; William Poole; Eric Rosengren; and Kevin M. Warsh.
In a related action, the Board of Governors unanimously approved a 50-basis-point decrease in the discount rate to 5-1/4 percent. In taking this action, the Board approved the requests submitted by the Boards of Directors of the Federal Reserve Banks of Boston, New York, Cleveland, St. Louis, Minneapolis, Kansas City, and San Francisco.

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September 02, 2007

サブプライムローン問題は終わったの?

サブプライムローン問題は終わったの?

先週の株式相場を見ていると、サブプライムローン問題は終わったように感じてしまう。日欧米などの中央銀行が大量の資金供給を行い、また米政府があらゆる対応を行うと発表したことから、一気に安心感が広がったのが理由だ。では、株式相場も安定を取り戻したと考えて良いのだろうか。私の結論は否である。その理由は、大量の資金を供給して金融市場の安定化を図っても、住宅価格の上昇が続かないと、米国GDPの7割を占める個人消費は冷え込み、景気は停滞、その結果米国市場に依存している世界の経済に影響し、株式相場にとっても悪材料になると思われるからである。この点について、もう少し考えてみたい。

住宅を購入したい個人は、手元資金だけでは不足するので住宅ローンを組む。住宅ローン契約は、債権者(貸手)が債務者(借手)から元本と金利を受け取る権利を有し、この債権・債務関係はローン完済に至るまで続く。しかしかつてとは異なり、リスクを抱え込まず、また資金も回転させることができるので、債権者はローン債権を売り払って自己のバランスシートからこの債権を切り離す。少々リスクの高い人にローンを組んでも、すぐに売り払えば自己のリスクにはならず、かつ収益性が高いとなると、サブプライムローンにも積極的に取り組むようになる。しかも住宅価格が値上がりしている時はリスクが低減するので、貸出に対する審査は甘くなり、安易な融資が増える。一方投資家はより高い利回りを求めるため、証券化されたサブプライムローンのように少々リスクが高い金融商品であってもニーズは高い。そして住宅価格が値上がりしており、証券の流動性も確保されておれば、これらリスクの高い証券を組み込んだ金融商品であっても、その格付は比較的良いものになるため、投資家も安心して投資する。

しかし米国住宅価格の上昇が止まって値下がりに転じると、住宅価格の値上がりを前提にローンを借りていた債務者は元利の返済が困難になり、延滞し始めた。特に当初は安い金利だが、2~3年後に金利が高くなるサブプライムローンでは、住宅価格が値上がりしないため、安い金利のローンに切り替えることが出来ず、延滞者が急増した。このため、証券化したサブプライムローンなどを組み込んだ金融商品に対する信用も揺るぎ始め、これまでは投資家が売りたいときに売ることが出来たこれらの金融商品だが、現在では買い手が現れず、価格が暴落している。そしてこれらの金融商品を抱える投資家は、転売が困難になり、資金繰りに窮するようになった。これらの金融商品に投資しているファンドは、レバレッジを効かせるため、顧客から集めた資金だけではなく、金融機関から借入をして運用していた。これらのファンドに破綻懸念が出ると、ファンドに融資した金融機関も不良債権を抱える可能性が高まり、金融機関に対する信頼も低下する。また融資だけでなく、ファンドで資金の運用を行う金融機関もあった。このような金融機関が現れると、金融機関が相互に資金を融通しあう短期金融市場で、資金が十分に流れなくなった。どのくらいのリスクを持つ先に、どれ位融資または運用しているのかが分からず疑心暗鬼状態になったからだ。このようなクレジットクランチを防ぐために行ったのが、各国中央銀行による大量の流動性供給と、米国公定歩合の引き下げだ。特に後者は、資金を必要とする金融機関に中央銀行が資金を融通するので、アナウンス効果は大きい。世界のマーケットが落ち着きを見せたのは、このような対応が功を奏したものといえる。しかしよく考えてみると、今回のクレジットクランチ懸念は、市場の資金が不足していたからではなく、資金の流れが悪くなったために生じたことなので、各国中央銀行による大量の資金供給だけでは十分ではない。先月末、ブッシュ大統領は、「サブプライムローン」の借り手を保護するための総合対策を発表した。連邦住宅局(FHA)の住宅ローン保証制度を拡充し、返済が滞っている契約者にも保証を適用する。また住宅価格が下落した契約者に対する臨時の減税措置も議会に要請するという。

しかしこのような対策を講じても、信用収縮を防ぐことは出来るだろうが、住宅価格と販売数の下落を止めることが出来ないであろう。住宅価格の下落が続いて担保価値が下がると、金融機関の融資スタンスは厳しくなる。さらに、証券化した住宅ローンの買い手が減り、資産から容易に切り離すことが出来なくなると、リスクを長期に抱えることになるので、金融機関はますます住宅ローン融資に二の足を踏むことになる。ITバブル崩壊後も上昇し続けた住宅価格と住宅販売。値上がりが見込めるので、ローンを組んで住宅を購入する。購入した住宅の値上がりで出来た担保余力を利用して更に借り増し、消費に当てる。だが、今後はこのようなことが出来なくなるので、アメリカの景気を支えてきた個人消費の好循環が崩れる可能性は大である。景気が減速すると、当然株価にも影響が出るであろう。長期低迷の懸念も払拭出来ない。さらなる対策が期待されるところだ。

ではこのような状況を踏まえ、どのような投資スタンスを取れば良いのだろうか。ここ暫くは流動性を確保し、経済への影響を見極めるのが無難な対応だと考えている。デイトレーダーは別として、それ以外の投資家にとって現在の相場は危険極まりない。明日は何が材料視されるのか分からない、丁半博打相場の様相を呈しているからだ。ボラティリテイが高いので、儲けるチャンスも多いと思うが、いつも上手くいくとは限らない。「休むも相場」という言葉もある。

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August 18, 2007

米・公定歩合0.5%引き下げ実施

米・公定歩合0.5%引き下げ実施

FRB(米連邦準備理事会)は17日、臨時のFOMC(米連邦公開市場委員会)を開き、公定歩合(FRBが民間金融機関に資金を貸し出す際の金利)を0.5%引き下げ、年5.75%とした。短期金利の指標であるFF(フェデラルファンド)レートは年5.25%に据え置いたが、今後の経済環境に応じFFレートも引き下げる考えを示した。信用収縮による金融不安を払拭するためである。これまでも短期金融市場に大量の資金を供給してきたが、今回の利下げにより、民間金融機関は一段と資金が使いやすくなる。

これらを受けて、NYダウは一時300ドルを超える上げを示した。米国の金融市場は、何か問題が起きても対応が早いので、投資家に安心感を与えてくれる。しかし公定歩合の引き下げだけで、景気の先行き不安まで解消させるのは難しいように思える。FFレートについては、米経済にスタグフレーションの懸念があるためこれまで据え置かれていることを考えると、今回示唆した利下げはかなり厳しい判断を迫られることになるであろう。

ところで、わが国の株式相場はどのように反応するのであろうか。NYダウの上昇を受けて円安も進めば、日本の株式相場も一時的に上昇に転じるであろう。しかし米国住宅市場の低迷→米国個人消費の失速となれば、外需に依存しているわが国経済のファンダメンタルズに黄信号が灯るため、わが国株式相場の回復は限定的なものに終わるのではないだろうか。次は日銀金融政策決定会合の動きに注目したい。

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August 17, 2007

世界のバブルは終わった?

世界のバブルは終わった?

「ヘッジファンドの多くは、金利が低い円で資金を借り入れていた。救済の後、これらのファンドは債権者に要求されて借入を返済せざるを得なくなり、十月のわずか一週間に、円の対ドル相場は二十パーセントも急騰した。世界の主要通貨が、これほど短期間に変動したことはかつてなかった。」(「バブルの歴史」(エドワード・チャンセラー著)[日経BP社刊・2000年4月発行])。この文章は、1998年8月に破綻したLTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)について書かれた中の一節であるが、昨日の新聞記事だと言われても納得してしまいそうな内容である。本日の日経平均はNYダウの下落を受けて、800円を超える下げを記録した。また為替も対米ドルで112円台になるなど、主要通貨すべてに対し円高となった。

「過剰流動性」が生み出したバブルともいわれていた世界の株式相場、本日も大暴落した。この「過剰流動性」は①オイルマネーの膨張、②円キャリートレード、③BRIC‘sをはじめとする新興経済国の黒字マネーなどによって生み出された。そしてこれらのマネーは、株式だけでなく、より良い利回りを目指して様々な金融マーケットに流れ込んだ。マーケットでは昔々のように単純な金融商品だけでなく、何倍ものレバレッジの効いた金融派生商品(デリバティブ)でも運用された。デリバティブというと、複雑ではあるがリスクをヘッジしてくれる最新の科学を駆使して作られた商品のように見えるのだが、現実には投機を目的とした商品内容になっている。そして近年、これらの商品は一段と複雑さを増していることから、どのような機能を果たし、相場にどのような結果をもたらすのかが分からなくなってきた。今回の信用不安、流動性危機のキッカケとなった「サブプライムローン」の債権を組み込んだ商品も同様である。リスクを低くする一方、高い収益が得られるように作られた金融商品のはずであったが、複雑にリスクヘッジなどをしているうちに、「サブプライムローン」がデフォルトした時、何処にどれ位の影響が出るのかが分からなくなってしまった。かつてヘッジファンドの雄といわれたジョージ・ソロスも次のように述べている。「派生商品はきわめて多種多様で、その一部は極めて複雑であって、どのようなリスクがあるのかは、とりわけ高度な投資家でも、しっかりとは理解していないともみられる。ちなみにわたしは、高度な投資家のひとりだとされているのだが。こうした新商品の一部は、賭博を許されていない機関投資家が賭を出来るようにすることを目的に設計されているように思える」(前出引用・「デェリバティブの非情な世界」(リチャード・トムソン著)[ロンドン・1998年])。このように得体の知れない「お化け」が、マーケットの参加者全体に不信感と不安感を与えているのである。

ところで今回の大暴落は、いつ収束するのであろうか。これについては分からないとしか応えようがない。証券化された「サブプライムローン」が組み込まれている金融商品。これを何処の誰がどれ位購入し、被害がどの程度になるのかは分からないという。リスク回避のため、これらの金融商品には買い手が現れず、価格は暴落する。これらの商品を購入したり、これらの商品で運用しているヘッジファンドなどに融資している金融機関が、どの程度の損失を抱えているのかが分からず、短期資金マーケットでの資金調達も困難になる。世界の中央銀行が大量の資金供給を続けたため、金融不安が起きる懸念は遠のいたように思えるが、損失を被ったファンドは損を取り戻すため、利益の出ている商品を売る。欧米の株だけでなく、新興国の株も売られる。本来、株とは違った動きをするはずの原油や金からも資金が出て行く。また金利が低いという理由で行われていた円キャリートレードの巻き戻しが起こり、円が買われる。すると円高が進み、ドルベースで見た株価の下落は加速するので、ますます日本株が売られる。円高は日本の輸出企業にとってマイナス要因なので、これも日本株が売られる原因になる。「サブプライムローン」問題などにより米国の住宅市場が低迷し、個人消費に翳りが見え始めると、米国への輸出に依存していた国々の景気に影響が出る。これまで何度となく問題視されていた「サブプライムローン」。その都度大丈夫だといわれてきた根拠は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の強さである。しかしこの根拠も失われようとしている。売りが売りを呼び、これによる不安心理が更に売りを呼ぶ。理屈では説明出来ない。投資家が安心するまで売られるのである。

ここ数年「ゴルディロックス・エコノミー」(心地良いインフレなき安定成長)といわれてきたが、最近の金融市場をみると、やはりバブルだったのかと思わざるを得ない。およそ10年ごとに繰り返すバブルと金融危機(懸念)。今回のバブルもこれで終わりなのだろうか。今回の「過剰流動性」の元になったオイルマネーや新興国のマネーまでがおかしくなると、世界の実体経済にまで懸念が広がる。何か有効な手立てはないのだろうか。利下げが難しい「FRB」、利上げの機会を窺う「ECB」と「日銀」。これら中央銀行の動向が注視されるところだ。円高・他通貨安。すぐにではないが、原油をはじめ原材料価格など輸入品の値段は下がる。無謀な素人考えだが、今月の日銀金融政策決定会合では、利上げではなく、利下げの検討をするとインパクトがあって面白いと思うのだが・・・・。

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August 13, 2007

サブプライムローン問題とは・続編

サブプライムローン問題とは(その2)

前回、「サブプライムローン」とはどのようなものかと言うこと、また何故問題になっているのかという点について概観した。今回は、何故「サブプライムローン」の貸し倒れリスクが警戒されると、このローンを組み込んだ「住宅ローン担保証券(RMBS)」などの金融商品の流動性が失われ、ファンドなどの破綻が増加し、銀行の信用収縮が起きるのかということについて考えてみたい。

かつては銀行が住宅ローンを融資した場合、住宅ローンの債権は銀行の資産として計上され、かつ償還期限まで元利金を受け取っていた。しかし1980年代になると、銀行は資金調達の一手段として、同種複数の債権をプールして証券化し、それを投資家に売却するようになった。いわゆる「住宅ローン担保証券」である。これらの中には、低リスクのローンからなる証券だけでなく、「サブプライムローン」のようにリスクの高いローンで作られた証券もある。それぞれの証券が単独で流通しているのであれば、この種のローンのデフォルトだけで済む。しかし、最近は出来るだけ低リスクでハイリターンとなるように、格付けの高い低リスクの証券とハイリターンだが格付けの低い証券とをデリバティブでアレンジし比較的高い格付けを得た金融商品が作られ、これをヘッジファンドや銀行・証券などの投資家たちが購入しているため、「サブプライムローン」問題はローン市場内のことだけでは済まず、それらのローン証券を組み込んだ金融商品の流通市場にまで広がりを見せることになったのである。今回のように、「サブプライムローン」に対する懸念が広がり、どの程度の悪影響が出るのか不透明になると、先の金融商品に対するリスクを恐れるあまり、取引が成立しなくなるという事態も生じる。世界同時株安のきっかけとなったBNPパリバ銀行の場合も、「米資産担保証券(ABS)の混乱により三つのファンドの資産価値を適正に評価することができなくなったと説明。投資家の利益を保護するため、応募、償還の一時的な停止を決定したとしている。資産価値評価が可能な状況に戻り次第、凍結を解除するが、事態が好転しない場合には一カ月以内に対応策を発表する」(2007/08/10付, 日本経済新聞・朝刊)との事。

それでは、ローン債券市場はどの程度の規模があるのだろうか。資産・債券担保証券市場は約2兆ドル(約235兆円)、また国債以外の市場規模は20兆ドル(約2350兆円)と言われており、前回見た住宅ローンの規模とは比べ物にならないほど大きなものになる。そしてこれらの市場に参加するヘッジファンドや銀行・証券などの投資家がリスク回避の動きを見せたことから、信用収縮懸念も取り沙汰されるようになり、信用収縮→金融機関の連鎖破綻→金融危機という連想を断ち切るために、ECBやFRBなど各国中央銀行は大量の資金供給を行ったのである。

では今回世界同時安となった株式市場は、資金の大量供給により信用収縮懸念も払拭され、回復に向かうのであろうか。この点については、そう簡単ではないようだ。米国の住宅市場の停滞が、世界経済の長期拡大に影響を及ぼしそうだからである。少し乱暴な説明かもしれないが、ここ数年の世界経済拡大は、米国の個人消費の拡大によってもたらされた、つまり日本や中国、その他新興国の輸出と設備投資が伸びて景気が拡大したのは、米国の個人消費に引っ張られた面が強いのだ。そして米国の個人消費の伸びた理由が、住宅価格の上昇である。住宅ブームの時には、評価額の高くなった住宅を担保にして資金使途自由な「ホームエクイティーローン」を借り入れ、また住宅ローンを借り増して一部現金を受け取る「キャッシュアウト」を利用することで、消費を押し上げてきた。しかし住宅市場の停滞、「サブプライムローン」の焦げ付きなどにより、新たな資金調達が難しくなってくると、個人消費にも翳りが見え始めた。GDP構成比でみると、日本や中国、BRIC‘sなどの新興国は、設備投資と輸出の伸びで成長しており、個人消費の割合は低下している。ドイツも他に比べれば米国への依存度は低いが、設備投資と輸出で伸びている。いずれの国も個人消費の割合は低下しており、米国に代わって世界経済の牽引車になることは難しい。つまり、住宅市場の停滞→米国・個人消費の低迷→景気の減速→世界経済の停滞→株式市場の調整・低迷の長期化という懸念が生じるのである。

わが国の株式市場を考える時は、米国の住宅市場や「サブプライムローン」問題だけ出なく、いわゆる円キャリートレードの巻き戻しによる円高で、日本経済を牽引する輸出企業の業績が打撃を受ける可能性も忘れてはならない。今後どのように株式相場が推移するのかを予測することは難しいが、投資家として様々なケースを想定しておくことは大切だ。1987年のブラックマンデー、10年後の1997年にはアジア通貨危機、更に10年後の2007年。今年は何事もなく過ぎ去って欲しいものである。(終わり)

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August 12, 2007

サブプライムローン問題とは

サブプライムローン問題とは(その1)

「サブプライムローン」問題に対する懸念から、10日の日経平均は一時500円を超える下げを記録した。フランスの銀行最大手、BNPパリバが、9日、「サブプライムローン問題の影響で、保有する資産の価値が算出できなくなった」として、総額およそ3,000億円規模の傘下の3つのヘッジファンドを凍結したことがきっかけで、欧米の株式相場が大きく崩れたためである。ヨーロッパでは金融市場から資金を引き揚げる動きが加速し、市場金利が急上昇した。ECB(欧州中央銀行)は市場の不安を沈静化するため、緊急オペ(公開市場操作)約950億ユーロを実施した。しかしオペの規模が米同時テロ直後の2001年9月12日に実施した約700億ユーロ以来の大きさであったため、逆に市場は「サブプライムローン問題は深刻である」と判断、ヨーロッパの主要株式市場は軒並み全面安になった。同日、FRB(米連邦準備理事会)も傘下のニューヨーク連銀を通じ、米金融市場に総額240億ドル(約2兆8000億円)の資金を供給、翌10日にはECBが約610億ユーロ(約9兆8000億円)、FRBが380億ドル(約4兆4500億円)を金融市場に追加供給したが、未だに株式相場の下落が収まる気配は見られない。以上のように、世界中の株式相場をはじめとする金融市場を揺るがしている「サブプライムローン」問題であるが、何故これが問題になるのかということについて、もう一度考えてみたいと思う。

ご存知のように「サブプライムローン」とは、信用力の低い個人向け住宅融資のことをいう。ちなみに、一定の年収や資産のある信用力が高い個人向けのローンは「プライムローン」と呼ばれ、「プライム」と「サブプライム」の中間に位置づけられる「オルタナティブA(略称オルトA)ローン」と呼ばれる種類もあり、これはサブプライムにて比べて信用力は高いものの、借入時に収入証明書類を提出するのが困難な借り手が大半を占めるといわれている。では、信用力の低い個人とは、具体的にどのような人をイメージすれば良いのであろうか。一般には、低所得やクレジットカードの常習延滞などの経歴を持つクレジットスコアが540~620点と低い人のことを指している。クレジットスコアは、ローン会社などが融資を審査するに当たり、返済履歴や債務残高などで個人の信用力を点数化したもので、「プライム」は660~850点、「オルタナティブ」は620~660点、「サブプライム」は540~620点、540点以下は借り入れ不能と言われている。一般に、スコアが高いほど融資限度枠は大きくなり、借入金利は低い。わが国の銀行でも、「スコアリングシート」や「ローンポイント」など、同じ様な制度がある。公務員や上場企業に勤める人や医師・弁護士などのポイントは高く、スポーツ選手や登山家、工事現場など危険場所で働く人などのポイントは低い。年収は多いほど良く、勤務年数や家族構成なども考慮されているようだ。それ以外に重要なのは担保で、融資額に対する担保の評価額の割合が大きいほど望ましい。

それでは、何故「サブプライムローン」が問題視されるのだろうか。それは返済が滞り、不良債権化するローンが増えているためである。「サブプライムローン」には、借入当初の2~3年は固定の低金利(6~8%)が適用され、その後市場金利にプラスアルファした高い金利(10%以上)に変換(リセット)されるものが多い。特に住宅ブームが最高潮に達した04~05年には貸し出し競争が起き、十分に審査しない安易な融資が急激に増加した。03~06年頃の住宅ブームの時期であれば、住宅価格の上昇による担保価値の増加分を信用として、リセットを迎えるローンを別の低金利のローンに借り替え(リファイナンス)ることが出来た。しかし、住宅ブームが去り、住宅在庫が増えて価格が下落し始めると、このような手法は取れなくなり、リセットされて高金利になると同時に返済に行き詰まる人が続出したのである。05年半ばまで10%台であった「サブプライムローン」の延滞率だが、06年10~12月期には13・3%に上昇した。返済が滞ると、担保処分が増えるため、ますます住宅価格の下落に拍車をかけることになる。そして恐ろしいことに、05~06年の住宅ブームのピーク時に設定された「サブプライムローン」は多く、これから続々とリセットの時期を迎えるのである。

それでは、このように恐れられている「サブプライムローン」の延滞残高はどれ位あるのだろうか。アメリカの住宅ローンの規模は11兆ドル、うち「サブプライムローン」は13~14%で、返済延滞率は約13%なので、金額にすると1,860~2000億ドル(22~23兆円)だ。日本の不良債権処理150兆円と比べれば小さい額といえる。このように考えると、今後リセットにより「サブプライムローン」の延滞者が増えても、大したことはないのではないかと考えてしまう。実際、これまでも住宅市場の調整により、何度も「サブプライムローン」に対する問題は取り上げられてきたが、その都度一時的な懸念に終わってきた。では何故今回はこれまでとは異なり、このように大きな問題として扱われているのだろうか。それは、「サブプライムローン」問題をきっかけにしたファンドなどの破綻が増え、銀行の信用収縮が起きはじめたからである。つまり、「サブプライムローン」の貸し倒れリスクが警戒され、このローンを組み込んだ住宅ローン担保証券(RMBS)などの金融商品の取引がほとんど成立せず、流動性が失われ始めているのだ。このため、冒頭で述べた傘下の三ファンドで資金の出入りを凍結するBNPパリバ銀行のほか、米国内では、損失を被って清算や解約停止などの措置に追い込まれるヘッジファンドなどが多数現れはじめている。これらのことを受けて、金融市場では新たな破綻や資金の凍結を警戒するムードが極端に高まっており、銀行間取引を行う短期金融市場でも資金調達が難しくなっている。このためECBやFRBなどの中央銀行は、相次いで大規模な資金供給を実行したのである。(続く)

(注)計数等は、新聞・雑誌などを参考にしている。

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March 21, 2007

BRIC’s、VISTA、ネクスト・イレブンへの投資は

BRIC’s、VISTA、ネクスト・イレブンへの投資は

先週末、保有していた投資信託のほとんどを売却した。売却した投信は、「インド株投信」、「新興国成長株投信」、「アジア債券投信」、「アジア好配当株投信」、「コモディティ投信」、「ロシア・欧州新興国」、「東欧投資ファンド」などである。これらは、いわゆるBRIC’s投資を中心にした投資信託で、インド株投信のように投資額の2倍以上になったものもあり、総じて良好なパフォーマンスであった。これらBRIC’sやこれに続くVISTA、ネクスト・イレブンと呼ばれる国々についても、今後の成長がまだまだ期待できる。では何故これらの国々の株式を対称にした投信を売却したのかというと、2月下旬から今月初めにかけて生じた世界同時株安の動きを見て、もう一度投資先の見直しをした方が良いと思ったからである。

今回の世界同時株安は、上海株式市場の暴落を機に、アメリカのサブプライムローン問題がクローズアップされ、米国の個人消費が後退して景気の減速懸念が出てきたからと言われている。そして株安の連鎖は、「円キャリートレード」の巻き返しによる円高→輸出企業の採算悪化→業績の下方修正→株式の売却といった株安の連鎖を引起した。私の資産ポートフォリオを見ると、地域や金融商品、通貨などの分散を図っていたにもかかわらず、すべてが同程度の打撃を受け、分散効果は殆んど出なかった。その理由として、外貨資産の比率が高く、外国株へ投資する投資信託もすべて為替のヘッジなしであったことを挙げることが出来る。しかし、もしすべてにヘッジを掛けていたとしても、成長性は高いがマーケットの規模が小さく、ボラティリティの高い市場の場合は、今回のように一斉に資金が引き揚げられてしまうので、国別分散の効き目が殆んど期待出来ないように思えた。

もちろん分散投資の意義を否定するつもりはない。もう一度じっくり考えたいのは、BRIC’sやそれに続く国々への投資スタンスである。成長市場として注目されてお金がこの市場に集まると、マーケットが小さいほど加速度的に株価は上昇する。逆に何かリスクが表面化すると資金が逃げ始め、アッという間に暴落してしまうのである。このことをよく考えないと、投資資金が簡単に五分の一、十分の一になってしまう可能性がある。先行しているBRIC’sの国をみても、ブラジルの株式時価総額は約80兆円(市場規模の計算は今年3月1日現在、以下同じ)、ロシアは約120兆円、インドが95兆円、中国でも本土は130兆円程度に過ぎず(歴史ある香港の市場は250兆円程度ある)、日本の株式時価総額約550兆円と比べると、これらの市場規模はまだまだ小さい。ましてBRIC’sに続く国々の市場規模は更に小さいので、よりリスクへの注意が必要になる。いま注目されているベトナムへの投資も、安易に行うべきではないであろう。ベトナムの時価総額はたった2兆円なのだ。資金の流入が続いているうちは良いが、一旦逆回転が始まると、逃げ遅れて大損する可能性も高い。ちなみに他の新興国の時価総額を見ても、南アフリカが約45兆円、トルコは約20兆円、アルゼンチンは約6兆円と非常に小さな規模である。

ところで、現在注意を払わなければならないのが円キャリートレードの元になる日本の「低金利」と原油高により潤った「オイルマネー」、そして世界経済の牽引車であるアメリカの景気、その中でも比重の高い「個人消費」である。これらのどれか一つにでも変調が起きると、株、為替、債券のすべてに影響が現れる。かつてのように、資金移動の自由がなかった時代の理屈は通用しない。これが人・物・金・情報の自由化されたボーダレスワールドなのだ。新興国市場の成長による収益機会は逃したくない一方、過大なリスクも負いたくはない。どのようにポートフォリオを組み替えるべきか、まだ自分自身の考えはまとまっていない。暫くキャッシュポジションの状態で色々と考えることにした。
なお、アメリカによるイラン攻撃の可能性についても心配していることを付け加えておく。

(用語解説)
① BRIC’s →ブラジル、ロシア、インド、チャイナ(中国)
②VISTA →ベトナム、インドネシア、サウス(南)アフリカ、トルコ、アルゼンチン
③ネクスト・イレブン(11) →イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、バングラディッシュ、パキスタン、フィリピン、ベトナム、メキシコ
④「サブプライムローン」→信用力の低い人(破産経験者や差し押さえされた者など)を対象にした住宅ローン。借入の審査が基準は緩いが、金利は高い。優遇金利を指す「プライム」より信用力が低いため「サブプライム」と呼ばれている。
⑤「円キャリートレード」→「円借り取引」とも呼ばれており、低金利の円を借りて高金利通貨に替えて運用する手法のこと。

(ご参考)
ホーチミン市証券取引センター(HSTC)のHP
http://www.vse.org.vn/
ムンバイ証券取引所(BSE)のHP
http://www.bseindia.com/
ロシア取引所システム(RTS)のHP
http://www.rts.ru/?tid=541
ヨハネスブルク証券取引所(JSE)のHP
http://www.jse.co.za/
海外株価案内のHP
http://www.traders.co.jp/stocks_info/kaigai_stocks/global/summary.asp

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March 06, 2007

株式相場は早くも底打ちか?

株式相場は早くも底打ちか?

本日の日経平均は202.25円上昇し、16,844.50円となった。昨日お話したとおり、「私が持ち株を売却すると、相場が上昇する」というジンクスは今回も的中した。弱気の極みに達した時は、相場も底を打つのであろう。と言っても偶然かもしれないので当てにはならない。

そこで今回の暴落相場を受け、今後の株式相場どのように見るべきか、という点について参考にするため、取引証券会社が主催するセミナーに出席した。セミナーの内容について要約すると、次のとおりである。

① 今回の株価暴落は「チャイナ・ショック」と言われているが、香港市場と異なり、発端は閉鎖された小さなマーケットである上海市場の株価暴落のため、これをもって危機到来と考える必要は無い。(上海市場は世界の株式市場の2%程度の規模に過ぎない)
② しかし上海株の暴落をキッカケに、米国株市場の問題点がクローズアップされたことに注意しなければならない。具体的には住宅価格の下落とサブ・プライムローンの焦げ付きにより米国のGDPの70%を占める個人消費が低迷する懸念である。だが、これについても現状心配する必要はない。住宅価格が下落したおかげで、逆に住宅の売り上げが増えており、また原油価格も下がったため、可処分所得に対する影響も少なくなったからである。更に、暴落の最中に発表されたミシガン大学市場信頼感指数も良好で、良い指標も出始めている。ゆえに米国経済のソフトランディングは可能で、米国株式相場も堅調に推移するものと考えられる。
③ それでは日本株についてどのように見るべきか。株価を決めるのは企業の業績予想であるが、6期連続増益見込みであり、先行きは非常に明るい。株主への還元余力(配当アップ)もあり、株価の上昇余地は大きいと思われる。外国人も本気で買いに入っており、今後も上昇を続ける可能性は高い。この一週間の暴落は、個人の狼狽売りと、機関投資家のロスカットルールに従った売り、そしてキャリートレードの手仕舞いによる売りが重なったもので、短期的なものに終わるであろう。
④ 日本株が上昇する要因としては、企業業績上方修正の可能性が大きい点も挙げることが出来る。主催証券会社の作成した今年度の四半期別経常増益率推移・予想を見ると、第一四半期・13.9%、第二四半期・14.4%、第三四半期・11.9%と二桁の増益であったのに対し、第四四半期(1~3月)の予想は僅か0.7%に過ぎない。これは業績の下方修正を嫌がる経営者が、かなり抑え目に予想を出している結果であり、毎回のことである。そして、慎重に見込む理由として挙げているのが円高である。しかし企業が予定している為替レートは115円/米ドルであり、今月分については為替予約が為されていることを勘案すると、為替が原因での業績の大幅な下方修正は考えにくい。つまり業績の上方修正の可能性の方が高いのである。
⑤ 以上より、今回の暴落は一時的なもので、企業業績を考えると株価は引き続き上昇トレンドを続けるものと考えられる。
⑥ 但し、原油価格が70ドル/バーレルを超えたり、40ドルを割るようなことがあれば注意を要する。価格の高騰は、米国の個人消費を冷やすことになるからであり、価格の低下は、世界中に投資されているオイルマネーの縮小を意味するからである。

最後に推奨銘柄の紹介もあった。「ゼンリン」(9474)、「タカタ」(7312)、「ブリヂストン」(5108)、「キャノン」(7751)、「トヨタ」(7203)である。「ゼンリン」は携帯電話へのGPS搭載の義務化、「タカタ」は米国でのエアーバック搭載の義務化、「ブリヂストン」は米国でのタイヤ消費のアップ、「キャノン」は北京オリンピック関連銘柄、「トヨタ」は環境への配慮と交通事故の防止を目指した車造りをテーマにした成長戦略などを理由に挙げていた。

以上、簡単にご紹介したので、省略した部分もあるし、私の聞き間違い、勘違いもあると思うので、講師の方にご迷惑をかけてはいけないので、お名前は伏せさせて頂く。
なお、ご案内した内容は、一つの見解であり、必ず正しいと言うものではない。紹介された推奨銘柄も同様である。もし投資をお考えの場合は、今回の投稿内容を鵜呑みにせず、自分で十分に調べ、検討に検討を重ねたうえ、自己責任で行うことをお忘れなく。

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March 05, 2007

分散投資とは言うけれど・・・

分散投資とは言うけれど・・・

今年になってから順調に増え続けていた運用資産だが、その増加分をこの数日ですべて吐き出してしまった。直ぐに使うつもりのない長期投資を目的とした資産なので、一喜一憂する必要は無いとは言うものの、世界中の投資家心理に変化が起きたのではないかと考えると、少々心配だったので、国内株式は本日すべて売却した。ビジネスクラスでヨーロッパ旅行に行けるくらいの評価益が出ていたのだが、結局売却手数料を除いて僅かに利益が残る程度での手仕舞いである。

日経平均を見ると、2月26日の終値18,215.35円をピークに、3月5日の終値は16,642.25円と、この一週間ほどの間に1,573.10円安くなった。9%近い下げである。ご存知のとおり、株式相場の下落は日本だけではない。欧米やアジア諸国の株式相場も、同程度下げている。
更に円高もキツイ。対米ドル円レートを見ると、2月22日の終値が121.55円であったのに対し、3月5日には115円台半ばまで円高となった。5%に近い円の上昇だ。そして円高も米ドルに対してだけではない。ユーロやポンド、豪ドルなどの通貨に対しても同様である。
外国株の場合は、株安と円高のダブルパンチだ。それだけではない。金相場も急落している。2月27日の税込み小売価格が2,819円であったのに対し、3月5日の同価格は2,563円と256円下落した。円価格なので円高の影響も受けているが、9%もの下げである。

国内外の株式、債券、金などに分散投資してリスクを低減していたつもりだったが、すべてが下げると、私のポートフォリオも同程度の影響は避けられなかった。中国株が下げ、欧米の株も下げ、日本も下げる連鎖的株安。金利の安い円を借り、金利の高い通貨に投資するキャリートレードが逆回転し始めたことによると思われる急速な円高。円高による企業収益悪化懸念から更に売られる国内株。加えて今週に控えるSQでの五兆円規模の売り圧力を懸念しての売り。また、これまでも囁かれていたが、悪材料とされていなかった米国景気減速と住宅ローンの焦げ付き懸念。ここに来て一気に株式の売り材料に浮上してきた。世界的に株式相場が下落すると利益を確保するために、商品相場などにも売りが出てくる。金などの貴金属だけでなく、原油や穀物なども下げている。悪材料と言えば、米国のイランに対する今後の対応など、地政学的リスクも気になるところである。これまで好調裡に推移していた相場の影に隠れていたリスクが、急に悪材料として採り上げられる可能性も出てきた。

しかし株価が暴落すると、すべてが悪い方向に走り出すように思えてくるのは、リスク管理がシッカリ出来ていない証拠であろう。世界や日本の経済のファンダメンタルズが、大きく変わったとは思えないし、日本企業の業績も堅調に推移すると思われることから、暫く我慢すれば、再び株式相場も回復に向かう可能性は十分にある。オイルマネーなど金余りの基調も変わっていないし、何よりも、持ち株を売ると相場が上がり始めるというジンクスを持つ私が株式を売却したのだから・・・・。きっと今日で大底を打ったに違いない?

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March 13, 2006

インド株への投資について考える

インド株への投資について考える

取引銀行から、インド株投資セミナーの案内をもらったので参加した。銀行も証券仲介業が出来るようになったので、店頭販売の投資信託だけでなく、系列の証券会社販売の投資信託の仲介にも熱心だ。セミナーの講師は「フィデリティ・ワールド・ファンズ・インド・フォーカス・ファンド」を運用するフィデリティ・インターナショナルの方である。
最近は、インド株に関する書籍類も数多く出版されるようになり、情報収集もし易くなったが、直近の情報を仕入れるには、今回のようなセミナーに出席するのも良いと思う。

インド株への投資は3年程前から話題になり、株価はこの1~2年で2.5倍程度アップした。私も既に取引証券会社を通じて、インド株に投資する投資信託を2本持っているが、昨年の前半に設定されたファンドは約1.8倍に、昨年後半に設定されたもう1本のファンドも1.5倍程度に上昇している。私にとっては、これから投資するというよりも、むしろ利益を確定した方が良いのか否か心配する状況下でのセミナー出席となった。

セミナーの概要は次の通り。
Ⅰ. インドの強み
① 規制緩和
1991年に深刻な経済危機に見舞われた後、この危機を克服するため新経済政策を実施し、民間企業主導の経済へと変貌を遂げた。新経済政策後の経済成長をもたらした主因は、農業からサービス業への構造変化である。特にIT・ソフトウェア産業の成長は著しい。理数系に強く、英語が話せる人材が多く、しかも低賃金、そして24時間サービスを可能にする米国との時差などが成長を後押しした。

② 国際競争力
①で見たIT・ソフトウェア産業だけでなく、製薬業も国際競争力を持っている。特に外国で特許の切れた製品、いわゆるジェネリック医薬品を安く生産し、輸出できるからだ。IT・ソフトウェア産業同様、優秀で低コストの人材が豊富なインドは、アウトソーシング先として最適なのである。
  その他、自動車産業も盛んで、日本のスズキ自動車なども進出している。現在は、国内向けの小型車が中心だが、国内市場拡大と共に、輸出の生産基地的存在になることが期待できる。

③ 労働力
これまで見てきたように、インドには安くて優秀な若年労働力が多い。また、日米欧はもちろん、中国(一人っ子政策の影響が出る)よりも高齢者への依存度が低い点で魅力がある。さらに人口の三分の一が15歳未満であることを考えると、将来も期待できる。
  このような優秀な労働力を求め、外国企業は多数進出している。

④ 国内消費
人口約10億のうち、2億程度の中流階級が国内消費を牽引しているが、所得の比較的高いサービス・セクターの就業人口の増加に伴い、中流階級人口の更なる増加が見込めることから、内需拡大の余地は大きく、今後も消費が経済成長をもたらす可能性が高い。
都会に住み、所得が増えることにより、ライフスタイルも変化し、様々な需要が生まれてくる。中でも小売、自動車、レジャー、メディア、教育などに注目できる。

Ⅱ. リスク要因
このように、インドは投資先国として非常に魅力ある国であるが、最後にリスク要因として3点を指摘していた。

① 政治情勢
② モンスーンが農業に与える影響
③ パキスタンとの関係

セミナーの内容は、最近目にする資料やデータを越えるものではなかったが、約1時間楽しく聞くことが出来た。

ところで、インドに限らず新興国への投資を考える際、いつも悩む点があるので質問してみたが、同様の懸念は持っているとのことで、明確な答えは得られなかった。質問は、外国資本に頼って成長してきた国から、資本が一斉に引き上げられる可能性についてである。1990年代後半、タイ、インドネシア、韓国などで起きたアジア通貨危機、アルゼンチン、ブラジルでの金融危機、また2000年以降、ロシアでも危機が生じている。インドも同様のことが起こる可能性は無いのかという点が気になる。インドが本当に為替を変動させ始めた時(現在も変動性を採っているが、介入により変動幅は小さく抑えられている)は要注意だと思うのだが、未だに自分なりの回答は見出せていない。

なお、今回セミナーの内容を紹介したが、今回紹介のファンドを推薦しているわけではない。もし購入を検討する場合は、資料などを取り寄せ、自分で十分に研究して、自己責任での投資ということをお忘れなく。

「フィデリティ・ワールド・ファンズ・インド・フォーカス・ファンド」のHP
http://www.fidelity.jp/fwfindia/

インド株投資については次の投稿もご参照下さい。
平成17年6月10日付投稿 「インド株・中国株への投資は?」
平成17年6月11日付投稿 「インド株投資の前に知っておこう!」
平成17年5月28日付投稿 「インドのIT企業株はいかが?」
平成17年1月11日付投稿 「インド人もビックリ! この成長」

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より以前の記事一覧