スペインの旅(第19回)
午後12:30にホテルに戻り、午後12:45、昼食抜きで出かけた。目的地は「カタルーニャ美術館」である。ツアーでご一緒のご夫婦も同じ場所に行くとの事だったので、ホテルの前からタクシーに乗り、美術館に向かった。タクシーの運転手にカタラン語について訊ねると、スペイン語の「グラァシィャス」(ありがとう)がカタラン語では「グラーシャ」となり、「アディオス」(さようなら)は「アディォ」になるなど、色々と教えてくれた。約15分で美術館の前に到着。チップを含めて6.5ユーロ支払う。ここから美術館の入り口までは、階段を含めて5~6分歩かなければならない。
美術館の正面入り口を入るとセキュリティーチェックがあり、その先の階段を数段上ったところ、左手でチケットを販売している。入館料は8.5ユーロ。売り場の脇に置いてあるパンフレットを見ると、コインの掲載されているものがあった。手に取ると、スペインのコインに関する解説が書かれており、2Fに展示されていることが分かった。嬉しくなり、急いでそのコーナーを訪れた。この美術館にカタルーニャ地方のロマネスクやゴシックの美術品があること、中でもロマネスクの美術について世界有数のコレクションを有することは知っていたのだが、コインの展示があることは全く知らなかった。
最初にコインが展示されているコーナーを訪れた。マドリッドの貨幣博物館よりも規模は小さいが、内容は充実している。全部で27のテーマに分けて展示されており、嬉しいことに英語の解説も付けられていた。
貨幣博物館と異なり、世界の観光客が訪れることを前提にしているからであろう。詳しいことは別の機会にお話したいと思うが、今回最も興味を持ったのは、フランス占領下に発行されたコイン(写真 : カタルーニャ美術館(コイン展示より)のHP)である。以前お話した、「ピカソ美術館」の近くにあった「カタルーニャ造幣局跡地」。ここでこのコインは造られたのである。この時代のスペイン、カタルーニャ地方のコインについて調べてみるのも面白いテーマではないだろうか。
コインコーナーの次は、ゴシックとロマネスクの美術鑑賞である。最大の見所は、「サン・クレメンテ教会」の壁画を移した「栄光のキリスト」(写真 : カタルーニャ美術館(コイン展示より)のHP)で、ロマネスクの宝庫と言われているスペイン、カタルーニャ地方を代表するキリスト像だ。
その他にも多数のフレスコ画が展示されている。しかしそれだけではない。ルネッサンス以降、現代アートも展示されているのだ。鑑賞したい所はまだまだあるのだが、「カタルーニャ歴史博物館」にも行きたかったので、午後3:00過ぎに美術館を後にした。
美術館正面の階段を歩いて下り、博物館に向かう車線でタクシーに乗り込んだ。そう言えば、バロセロナのタクシーのボディは黄色と黒のツートンカラーで、白いボディに赤いストライプのマドリッドとは異なる。空車の表示もバルセロナは、赤字で「LIBRE/LLIURE」と書かれた札が出されているが、マドリッドは緑字の「LIBRE」という札が示されていた。日本のタクシーにも色々な車種があるのだから不思議ではないが、すべてのタクシーが同じボディなので、両方の街の違いがハッキリしていて面白い。タクシーの運転手は英語で楽しそうに車の話をしてきた。どうやらトヨタのランドクルーザーを買いたいようなのだ。私が日本人なので、トヨタの車のことは何でも知っていると思ったのだろうか。車の値段など、質問攻めである。私はあまり車に関心が無いので、逆に何が魅力なのかと言った質問を投げ返した。そのような会話を続けているうち、午後3:45、ヨットハーバーの見える海辺にある「カタルーニャ歴史博物館」に到着した。チップ込みで8ユーロを支払い、タクシーを降りた。
博物館正面のガラス戸を潜ると、左手にチケット販売所がある。ここは外国人観光客が少ないのだろうか。ほとんどの表示が、カタラン語とスペイン語だけである。チケットを購入し、シールを胸に張り、反対側にあるエスカレータで3Fまで上がった。入り口には男の係員がいたが、胸のシールを見るとそのまま通してくれた。イベリア半島の起源に始まり、古代ローマ時代からイスラムの時代やレコンキスタ、そしてフランコ政権から現代までのスペインの歴史を、模型やパノラマ、映像などで綴っている。解説がスペイン語というのは難点だが、事前に調べていたスペインの歴史に関する知識を動員し、想像力を働かせながら展示物を見学した。中でもカタルーニャが自治国として地中海貿易を行い、繁栄していた時代については興味深く、非常に面白かった。
約1時間半見学の後、ホテルまでタクシーに乗ることも考えたのだが、途中にガウディの建築物が建っているので、それを見るため歩くことにした。博物館横のヨットハーバーは多くの人で賑わっている。そこを通り抜け、「ビア・ライエタナ通り」を北に進んだ。500mほど歩くと、「カテドラル」があった。13~15世紀に建設されたカタルーニャ・ゴシック建築の代表作だ。土曜日の午後なので、凄い混雑である。
さらに500mほど行くと、「カタルーニャ音楽堂」(写真 : BARCELONA,SPAINのHPより)だ。「モデルニスモ建築」の美の極致といわれている世界遺産である。中には入らなかったが、外壁のカタルーニャ守護聖人の彫刻を見ることが出来た。
次に訪れたのは、スペインを代表する百貨店「エル・コルテ・イングレス」である。目的はCDの購入だ。実は10年以上前にNHKのスペイン語講座で紹介され、その当時メキシコでも流行っていたスペイン語の曲を探していたのである。曲のタイトルも歌い手も覚えていないのだが、リズムだけはハミングできる程度。日本で探すことは難しく、この間スペイン語のヒット曲CDなどを買ったのだが、すべてハズレであった。しかしスペインであれば、私のハミングでも分かるのではないかと思い、再び探すことにしたのである。
トレドからグラナダに向かう途中で休憩した「HOTEL CASA MARCOS」にCDを売っていたので、店員にハミングを聞いてもらい、該当のCDを購入していた。確認は出来なかったが、きっと考えている曲が入っているものと信じていた。しかし昨日宿泊したホテルのCDプレーヤーで聴いてみると、該当の曲は入っていない。そのため、百貨店のCD売り場の店員であれば知っているのではないかと考え、ここ「エル・コルテ・イングレス」に立ち寄ることにしたのである。最初地下のCD売り場に行くと、スペインの曲は2FのCDコーナーにあるといわれたので、そちらに行った。地下は外国のCDを販売しているようだ。2Fの店員に事情を話し、ハミングを聞いてもらうと、歌手の名は直ぐに分かった。しかし曲名は分からなかったので、本社の音楽に詳しい方に電話をして題名を聞き、該当のCDを探してきてくれたのである。タイトルは「AYER」、歌手は「GLORIA ESTEFAN」。DVDとセットなので17.95ユーロと少々高かったが、即購入した。今度こそ間違いないようだ。
ルンルン気分で百貨店を出ると、午後6:00前であった。少々お腹が減ってきたので、またしても夕食に代えて、目の前にあったマクドナルドでハンバーガーを購入した。コーラは高いので、ホテルの近くのスーパーで買うことにした。
ハンバーガーとCDを持って、「カタルーニャ広場」を通り、「グラシア通り」に出た。この通りには、世界遺産に指定されている「ガウディ」の建築物などが並ぶ。最初は「カザ・アマトリエール」。これは「プーチ・イ・カダファルク」の作品。中世ロマネスク様式を取り入れた建物で、鮮やかな色の切妻屋根と浅彫りのレリーフを用いた壁面が美しい。その隣には、「ガウディ」作の世界遺産「カサ・バトリョ」(写真 : カザ・バトリョのHPより)が並ぶ。正面の壁は波打っており、その表面は青や緑、茶のガラス片や円盤状のタイルで装飾されている。この建物を見ていると、同じ様なデザインが施された建物が並ぶ「グエル公園」を思い出した。さらに500mほど歩くと、道路の向かい側に「カサ・ミラ」(写真 : カザ・ミラのHPより)が見えてきた。
これも波打つ外観で、鉄で作られた彫刻のようなバルコニーの欄干が面白い。この独特の形状から、市民から「ラ・ペドレラ」(石切り場)の愛称で親しまれているようだ。午前中に訪れた「モンセラット」の奇岩をモチーフにしたと言われており、「モンセラット」の石灰岩を使用して建築されている。
ここから先には特に見るべきところはないが、ホテルまでの約2kmを歩いて帰ることにした。ホテルの近くでスーパーに立ち寄り、コーラを一本購入して部屋に戻った。早速CDを聴くと、間違いない。探していた曲であった。嬉しかったので、リピート機能を使い、同じ曲を流しながら、夕食のハンバーガーを食べ、荷物整理を行い、風呂にも入った。寝るときもスリープ機能を使い、1時間で切れるタイマーをセットした。午後10:00に床に着き、音楽を聴きながら、いつの間にか熟睡していた。
カタルーニャ美術館のHP
http://www.mnac.es/
カタルーニャ美術館(コイン展示)のHP
http://www.mnac.es/colleccio/col_numismatica.jsp?lan=001
カタルーニャ歴史博物館のHP
http://www.en.mhcat.net/
カタルーニャ音楽堂のHP
http://home.palaumusica.org/
BARCELONA,SPAINのHP
http://www.bluffton.edu/~sullivanm/spain/barcelona/domenechmusica/musica.html
カザ・バトリョのHP
http://www.greatbuildings.com/buildings/Casa_Batllo.html
カザ・ミラのHP
http://www.greatbuildings.com/buildings/Casa_Mila.html